いつくしく虹たちにけりあはれあはれ戯れのごとくおもほゆるかも

いつくしく虹たちにけりあはれあはれ戯れのごとくおもほゆるかも

作者:斎藤茂吉 『つゆじも』

解釈:冬の間、太陽の力が弱まって現れることが少なかった美しい虹が、ようやくみられるようになりました。おやおや、まるで天の遊びのように思われるのだ。

★「いつくし」→漢字で「厳し」と書きます。おごそかで美しいこと。

病にさいなまれていた作者にとって、虹の美しさはあまりにもかけはなれたものであり、僅かの時間での出現であれば、「戯れ」のように思われたのでしょう・・・。

香龍撮影