風そよぐならの小川の夕暮れは禊ぞ夏のしるしなりける

風そよぐならの小川の夕暮れはみそぎぞ夏のしるしなりける

百人一首98番

作者:従二位家隆(1158年~1237年)

現代語訳:風がそよぐ「ならの小川」の夕暮れは(もう秋のような涼しさですが)、禊(みそぎ)が行われているのが、まだ夏の証拠だなぁ。

★ならの小川…京都市の上賀茂神社を流れる御手洗みたらし川の異称。参拝者が手を洗うなどして身を清める。

「楢」(ブナ科の落葉高木)との掛詞。

★禊…川や海などで、身を洗い清め、罪や穢れを払い去ること。ここでは「夏越の祓え」のことで、陰暦六月晦日に半年分の罪や穢れを祓い清めた神事。翌日から秋となることから「夏越」という。の輪をくぐったり、体をなでた人形ひとかたを水に流したりした。