作品
人気なき公園の椅子にもたれて我の思ふことはけふもまた烈しきなり
2024年5月2日
人気なき公園の椅子にもたれてわれの思ふことはけふもまた烈しきなり。 作者:萩原朔太郎 詩集『純情小曲集』(大正14年)後半「郷土望景詩」10編の中の「公園の椅子」冒頭2行を書いてみました。 故郷の前橋で過ごした憂鬱きわま […]
暮れていく春のみなとは知らねども霞に落つる宇治の柴舟
2024年4月24日
暮れていく春のみなとは知らねども霞に落つる宇治の柴舟 作者:寂連法師 解釈:終わりになって去っていく春の行きつく所は知らないが、今、霞の中に落ちるように下っていく宇治川の柴舟とともに、春が去っていく感じがする。 香龍撮影
吉野なる夏実の河の河淀に鴨ぞ鳴くなる山かげにして
2024年4月14日
吉野なる夏実の河の河淀に鴨ぞ鳴くなる山かげにして 作者:湯原王(ゆはらのおおきみ) 湯原王は志貴皇子の第2子で光仁天皇のご兄弟。 「夏実」は吉野川の一部で、宮滝の上流約十町にある。 解釈:吉野にある夏実の川淵に鴨が鳴いて […]
吉野山八重たつ峯の白雲にかさねて見ゆる花桜かな
2024年4月5日
吉野山八重たつ峯の白雲にかさねて見ゆる花桜かな 作者:藤原清家 「遠山桜」という題で、白雲に見立てた吉野の桜が詠まれている。 平安時代、吉野は山岳信仰としての色を強め、多くの修験者が集まるようになる。金峯山寺を開くに際し […]
今年より春しりそむる桜花ちるといふことは習はざらなむ
2024年4月2日
ことしより春しりそむる桜花ちるといふことは習はざらなむ 作者:紀貫之 解釈:春を知り始めたかのように今年から花を咲かせ始めた桜の花よ。どうか散ることは他の桜に見習わないでほしいものです。