人気なき公園の椅子にもたれて我の思ふことはけふもまた烈しきなり
人気なき公園の椅子にもたれてわれの思ふことはけふもまた烈しきなり。
作者:萩原朔太郎
詩集『純情小曲集』(大正14年)後半「郷土望景詩」10編の中の「公園の椅子」冒頭2行を書いてみました。
故郷の前橋で過ごした憂鬱きわまる青年期を回想した作。同じ詩の別の部分には、「われを嘲りわらふ声は野山にみち 苦しみの叫びは心臓を破裂せり」のような激した詩句もあります。
解釈:葉桜頃のどこかの公園の椅子には、今も知れぬ憂悶をもった青年が、「烈しき」思いを抱いて、苦しくうづまっていることだろう。
香龍撮影