猫の舌のうすらに紅き手ざはりのこの悲しさを知りそめにけり
猫の舌のうすらに紅き手ざはりのこの悲しさを知りそめにけり
作者:斎藤茂吉(1882~1953) 山形出身。東大医学部卒。本業は精神科医。業績は歌作に留まらず、研究・評論・随筆等がある。代表作『赤光』
出典:『赤光』
読み:ねこのしたの うすらにあかき てざわりの このかなしさを しりそめにけり
解釈:猫の薄赤い舌の手ざわりの、この悲しさを初めて知ったのだ。
※うすら→ある現象・状況などが、ほんの少し現れているさま。かすか。
視覚である「うすらに紅き」、触覚による「手ざはり」、これらの新鮮な感覚から感情「悲しさ」と心の陰りを表現しています。
猫の舌には、無数の突起があり、なめられるとザラザラした感じでちょっと痛いです。
可愛らしい猫だけれど、作者は物寂しいと思ったのでしょう。
淡い悲しみを知る前と後との、時間の経過もこの歌には含まれています。
なぜ猫の舌はザラザラしているのでしょう?調べてみました。
- 骨から肉をそぎ落とすため
- グルーミング(毛づくろい)するため だそうです。
我が家の猫 のこ です。スコティッシュフォールド4歳の女の子です。