破草鞋
破草鞋
読み方:はそうあい
意味:「草鞋」はわらじのことです。よって、履き古されてすり減った草鞋という意味になります。
転じて、使い込んだ道具には、持ち主の努力がしみ込んでいるので、その道具を通じて、その人のことがわかる。
または、世間的に価値のないことでも、注目すべきことはあるということです。
写真の文鎮は、私が5歳で書道のお稽古を始める時に、母が揃えてくれたものです。
それからずっと愛用しています。
同じ幼稚園のお友達に誘われ、2人で習いに行きました。
父の家系にも、母の家系にも、書をする人は誰もいません。
小学校に入学したらお習字の時間があるから、いまのうちにちょっと習っておくのがいいかも・・・と、そんな軽い気持ちだったようです。
ピアノは4歳から習い始め、そちらの道に進むつもりで力を入れてきました。が、中学生の時、体育の時間に、指を怪我するアクシデントに見舞われ、ピアノへの道は断念。
趣味で続けていた書だけをその後もずっと続けてきました。
私の母が悪性腫瘍を患い、私は闘病生活を支えてきました。
10年近くになりますが、その間、筆を持つことは全くありませんでした。
筆を持とうと思えば、短い時間でも作れたかもしれません。が、心の余裕もなく、時間的制約、疲労を理由に筆を持たず、自分ではただただ必死に毎日を過ごしてました。
母が亡くなる間際に「あなたが筆を持つ姿を見たい・・・」と言いました。
25歳で師範を頂いていたのですが、長い間のブランクがありました。でも、それから毎日、筆を持つことにしました。
そうしたらありがたいことに、師匠(2023年に95歳で亡くなりました)とのご縁をいただきました。
日本武道館でのご縁をいただき、一人の生徒さんから書道を教え始めるご縁をいただきました。
そして、今年12月10日~14日迄、銀座アートホールで、初個展を開催という幸せな機会を持てます。
楽しみながら、精一杯、心を込めて書いた作品です。
お近くにいらした際にはお立ち寄りいただければ嬉しいです。
香龍