つひにかも嘆き透れば一点の晶となりてやいのち光らん

つひにかも嘆き透れば一点の晶となりてやいのち光らん

作者:岡本かの子 『わが最終歌集』(昭和4年)所収

作者は17歳で与謝野晶子に師事し、5冊の歌集を残しました。小説家として昭和11年~わずか3年間で驚異的に活躍するも、14年には火山爆発のような49歳で生涯を閉じました。歌はひたすら生きる嘆きをうたっています。

嘆き透ってついには晶玉と光るまでに、煩悩の生を昇華しようとする祈りです。作者の宗教的情熱を思わせる歌です。