紫陽花も花櫛したる頭をばうち傾けてなげく夕暮れ

紫陽花も花櫛したる頭をばうち傾けてなげく夕暮れ

作者:与謝野晶子

解釈:紫陽花も花櫛をしている頭を傾けて嘆く夕暮れ。

★したる→古語 ぶる下げる。たれ下げる。

作者が夕暮れ時、寂しさや悲しみを抱いていたから、紫陽花が頭を垂れて悲しんでいるように見えたのでしょう。花櫛をしていることから、紫陽花は女性のイメージで、作者のその時の気持ちを映し出しています。切ない女心が感じられますね。視覚的にも紫陽花の鮮やかな色と夕暮れの赤という対比が目に浮かび、美しい句だと思います。

 

香龍撮影