灯台に風吹き雲は時追えりあこがれきしはこの海ならず
灯台に風吹き雲は時追えりあこがれきしはこの海ならず
作者:寺山修司
目の前の灯台は動かず、その上にかかる雲は風に吹かれて流れていきます。作者にとってこの海は求めてきた海ではありません。
灯台は人類の存在する場所、風に吹かれて灯台から離れていく雲は、人類を置き去りにして過ぎてゆく時間とも解釈できます。
作者が自分で足を運んでたどりついた海は永遠の場所ではありません、が、そんなことに気づかないほど、海を見る前の作者は焦燥感に駆られていました。
人は目標を立てたり、何かに憧れたり・・・、それを必死に追い求め、やっと手に入れた瞬間に、それは見当違いであったと気づいたりします。目標や憧れを追い求め続けている過程が快感だったり楽しかったりする場合もあります。