ゆらゆらと朝日子あかくひむがしの海に生まれてゐたりけるかも

ゆらゆらと朝日子あかくひむがしの海に生まれてゐたりけるかも

作者:斎藤茂吉 『あらたま』

解釈:ゆらゆらと朝日が赤く 東の海に生まれたように現れたのであったよ。

※朝日子(あさひこ)→ 朝日のこと。「子」は親しみを込めて言うときの接尾語。

※ひむがしの→「東の」。語調を整えるために「ん」を入れる。

※生まれて→「現れた」

三浦に妻の輝子との新婚旅行中の歌。

朝日の輪郭が揺れ動く様子を「ゆらゆらと」という擬態語を使い、それを文頭に持ってくることで、朝日の様子が印象強くなっています。何もなかった海に、生まれたように朝日が現れて美しい光を放っている、まるで絵画を見るような歌です。新婚旅行中に詠まれたというのもロマンチックです。