くろがねの秋の風鈴鳴りにけり

くろがねの秋の風鈴鳴りにけり

作者:飯田蛇笏 『霊芝』(昭和12年)所収。

風鈴を鳴らす風に、夏が終わり秋を実感している句。

※くろがねの→鉄製の、鋳物のと言う意味。単に鉄を意味するだけでなく、音感そのものがどっしり黒いものの印象を生む。

「くろがねの秋の」と続く時、秋がひそかにくろがねに変じ、やや季節外れの風鈴の中で、深沈と鳴るのである。