写経は神聖なる仏典を移す浄行ですから1字1字を丁寧に、書体も謹厳な楷書で書くのが古くからの習わしです。

ここでは、写経を書く前にあらかじめ心得ておきたい若干の事柄を今日から5回にわたってとりあげてみたいと思っておりますので、どうぞお付き合いくださいね。

1.写経の文字について

まず、写経の特徴を掴むために図版などで古写経のいくつかを良く観察することから始めます。写経の文字は写経体と呼ばれる特有の形をしていますが、これは限られたスペースに一定の字数を入れる都合から、やや扁平で末広がりに工夫されたスタイルなのです。字画も辞典体ではなく楷書の筆写体で、通常の活字とは異なっています。
書風も当然ですが一様ではありません。我が国の代表的な写経の数々は天平写経と呼ばれる奈良朝の遺品ですが、これらは中国の隋・唐の書法を受け継いだものですから、虞世南・欧陽詢・褚遂良などの楷書を習われた方なら違和感なく入れると思います。

香龍