うつしよのはかなしごとにほれぼれと遊びしことも過ぎにけらしも 『川のほとり』所収。

作者:古泉千樫(こいずみちかし)

「はかなしごと」は「はかなごと」、はかない事ども。

大正13年、千樫は晩年の心境を歌った。当時彼は喀血して病床にあり、死を思うことも多かった。

秘め事の恋をはじめ、多くのはかな事に夢中だった日々への、万感込めたい愛惜の思いが一首に沁みとおっている。調べに哀れと艶があって、良い歌です。